『しじまの日記』を作った理由 — 夜にぐるぐるする気持ちを、そっと置いて手放したくて、の巻
今日あったこと、誰かに言えなかった小さなモヤモヤ、なんとなく感じた寂しさや苛立ち。
話すほどのことではないけれど、そのままにしておくと、ぐるぐると回って眠れなくなってしまうのです。そんな時期が、私にもありました。
気分がどうしようもなくダウンしていて、夜中に目が覚めては寝付けず、ただぼんやりと気持ちを抱えていました。
そのとき、ふとAIとチャットしてみました。思ったことをそのまま打ち込んで、吐き出してみる。すると、意外と気分がいくぶん紛らわされました。AIは急かさず、深く踏み込みすぎず、ただそこにいてくれたのです。でも、やり取りを終えるたびに、少し物足りなさを感じました。
「この会話、どこかに残せたらいいのに」と思いました。
そのまま消えてしまうのが、もったいないような、惜しいような。
「誰かに話すほどでもないけど、頭の中に残したくない」気持ちを、静かに置いて、手放して、明日へ繋げられる場所があったら——。
それが、『しじまの日記』を作り始めた、素直なきっかけでした。欲しかったのは「長く続ける日記」ではなく、「静かに終えて明日へ繋ぐ場所」普通の日記アプリは、毎日続けようと励ましてくれるものが多く、長く書くことを前提にしていることが少なくありません。
チャット型のAIも、会話を広げてくれたり、深掘りしようとしてくれたりします。でも、気持ちが落ち込んでいるときや、ただそっと置きたいだけのときには、それが少し重く感じることもあります。私が欲しかったのは、もっとシンプルで、もっと静かなものでした。
- 思ったことをそのまま書く
- AIが短く受け止めて、やさしく問いかける
- 数回のやり取りで、自然に会話が閉じていく
- そして、やり取り全体がそのまま「日記」として残る
「気持ちの色」をそっと添えたり、タイトルを付けてくれる機能も、ただのログではなく「受け止めてもらった感」を少しでも味わってほしいと思って入れました。
目指したのは、書き終わったあと「ふう……」と軽くなって、手放した気持ちで明日へ繋げられるような感覚です。
置いて、手放して、静かに1日を終え、穏やかに次の朝を迎えられる場所。作ってみてわかった、想像以上の難しさコンセプトはシンプルだったのですが、実際に形にするのは想像以上に手間がかかりました。一番苦労したのは、AIの応答の「やさしさ」と「短さ」と「自然に終わる感じ」のバランスを取ることでした。
何度も自分自身で試しては、「ここはまだ深掘りしすぎる」「ここは少し冷たく感じる」「もっと静かに閉じて、明日へ繋げられるかな」と調整を繰り返しました。
正直に言うと、今でもAIの応答は稚拙な部分が多く、理想には遠いと感じています。ときどき不自然な表現になったり、優しさが足りなかったり、終わり方が少し唐突に感じたりする場面もあります。個人開発だったため、テスト相手はほとんど自分だけでした。夜中に何度もやり直しながら、「これで本当にやさしく感じて、手放せるだろうか……?」と不安になることも多かったです。技術的な部分で言うと、Apple Foundation Modelsを使って応答を設計していたのですが、プロンプトを細かく指定しすぎると逆に自然さが失われてしまうことに気づきました。
欲張らずに、短く・シンプルに・少し余白を残す方向に落ち着けました。
(詳しい実験過程と気づきは、こちらの記事にまとめています → Apple Foundation Modelsは“どんなプロンプトにどう反応するのか”を試してみた、の巻)ほかにも、余計な機能を削ぎ落としてシンプルさを保つ判断や、iCloud同期を任意にできるようにするなど、さまざまな選択を一つひとつ積み重ねてきました。できあがって、改めて思ったことリリースして、自分で使ってみて改めて感じるのは、「これでよかった」という静かな安心感です。
完璧ではなく、AIの応答もまだまだ未熟な部分が多いのですが、ダウンしていたあの夜に欲しかった「そっと置いて、手放して、明日へ繋げられる場所」には、だいぶ近づけた気がします。まだリリースしたばかりですので、皆さんがどう感じてくださるかはわかりません。
「静かに終えて、すっきり明日を迎えられた」と思った方も、「もう少しこうだったらいいな」と思った方も、気軽に声をかけてくださると嬉しいです。
いただいた感想は、AIの応答を少しずつ良くしていくための大切なヒントにしたいと思っています。もし夜に気持ちがぐるぐるして寝付けないとき、
またはただ少し吐き出したいとき、
『しじまの日記』をそっと開いてみてください。
そこに、あなたの言葉を置いていって、手放して、明日へ繋げてください。
『しじまの日記』はApp Store (リンク)で公開しています。
よろしければ、そっと試してみてください。





